歌舞伎役者さんの言葉

着物ドレスの椿屋です。こんにちは。

春分の日の昨日は暖かかったのに、今日は寒い雨の日になりました。
こんな日は、同じことを繰り返すような単純作業に集中するのにぴったりです。

私には、「今日は雨かぁ。イヤだなあ…」と思った時に、必ず同時に思い出す光景があります。

何年か前に、ある歌舞伎役者の方とお話しする機会がありました。
渋谷の高層階のカフェの窓際で、その方と知人と3人でお茶をしていたのですが、その日は雨で、外は白くけぶった景色が広がっていました。

「最近雨ばっかりで嫌になっちゃうよね。ほんとならもっと景色が綺麗に見えるのに・・・」

知人がうんざりした表情で言いました。

するとその歌舞伎役者の方は
「そうかなあ。雨もいいじゃないの。しとしとしとしと・・・」
頬杖をつき、静かにそう言いながら、嬉しそうに外を眺めているのです。

そのシーンがまるで映画のようで、うわーこれは素敵なものを見てしまった!と心の中で思いました。
その役者さんの周りだけ、浮世離れした空気で切り離されているみたいに感じました。
​歌舞伎に興味を持ち、よく観に行っていた頃でもあったのですが、あの舞台とお稽古を日常とする方はやはり感性も醸し出す雰囲気も違うのだなぁと思いました。

それ以来、「今日は雨かー・・・(ため息)」と思うと同時に、あの素敵な
「雨もいいじゃないの。しとしとしとしと・・・・」

を思い出して、私も余裕の微笑みをもって言ってみたいものだと思うようになったのです。

そうは言っても、やはり朝からカラッと晴れていた方がやる気もみなぎるというものですが、「雨の日も情緒があって心を落ち着かせられる良い日なのだ」と思うことが出来るようになった体験でした。

それではまた。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!